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退屈な春休み。
落合陽介がゼミ生にさせているという勉強法を実践してみた。
落合氏曰く、研究者になりたいのなら、一週間に25本の論文を読み1〜2分のプレゼンに自分が興味を持ったことを落とし込まなければならないらしい。
正直、論文を25本読む程度ならまだ簡単である。
それを自分の考えに落とし込むのが難しい。
自分は口下手なので、プレゼンのような発表の場に慣れなければ、と常々思っている。
思っているだけで、そのような場に積極的に赴くのは難しい。
ビビリでチキンなので。
久しぶりにアメーバピグにログインした。
アメーバピグとは、6年前ほどに流行ったアバターサービスである。
昔はそこで私もブイブイ言わせていた。
最近はリアルが忙しかったり、別のゲームにはまっていたのでログインできていなかった。
春休みが暇すぎるので、アメーバピグに3年ぶりにログインした。
かつてはユーザー数2000万人を誇ったアメーバピグだが、久しぶりに行ってみると驚くほど人がいない。
私がログインしていた頃はアクティブユーザーが少なくとも5万人はいたはずだが、現在は多めに見積もっても1000人いくかどうかである。
一応、これほどまで人が減ってしまったのには理由がある。
アバターブームが過ぎ去ったこと、時間の経過、そして未成年のユーザーに一時期かなりの使用制限を加えていたことである。
3つ目の理由は、私がアメーバピグから一時的に離れていた原因でもある。
成人からの未成年に対する出会い厨行為が相次いだせいで、未成年ユーザーが他のユーザーと全く交友関係を持てないように設定されてしまったのだ。
具体的には、友達申請の停止、他のユーザーと交友することのできる数少ない手段であるお出かけの禁止、さらには他ユーザーのお部屋への訪問の禁止と、サービスの根本をぶち壊すものだった。
ただのお部屋アバター着飾りクソゲーと化したアメーバピグに、ほとんどの未成年ユーザーが戻ることはなかった。
なお、現在ではその制限は解除されている。
出会い厨行為が再発するだとか、そのようなことを運営は考えなかったのだろうか。
アメーアピグに久しぶりにログインしたのには、暇という他にも、実はもう一つ理由があった。
最近、「meet-me」というこれまた過疎状態にあった古参のアバターサービスが終了した。
それで、アメーバピグもそろそろサービス終了するのではないか、と不安になったのだ。
アメーバピグは私がネット活動の中心にしていたサービスであり、一応の愛着があった。
近頃は忘れ去っていたが、meet-meの訃報を聞きつけて久々に顔を出したくなったのだ。
アメーバピグでは自分のお部屋で自由にイベントを開くことができる。
アバターをお題に合わせて着せ替え、勝敗を決める「コーデバトル」など、様々なイベントが昔は開かれていた。
中には100人待ちのユーザーの部屋もあったほどだ。
だが、今はイベントの数も少なくなり、順番待ちなどもすることなく、イベントを開いている部屋にすんなりと入れるようになっていた。
試しにコーデバトルのイベントに参加してみると、生き残りのユーザーが細々と着せ替えている最中であった。
すると、椅子に座っていたユーザーの一人が「あれ、金こんにゃくさんだよね?」と声をかけてきた。
よく見ると、彼女は以前顔見知りだったカレン氏(仮)であった。
カレン氏の他にも、その部屋には何人か昔からの知り合いアバターがいた。
私がここに来ていなかった3年間、彼らはアメーバピグにログインし続けていたのか。
私は愕然とした。
カレン氏らのなんたる愛郷心。
ユーザーが減り、過疎地と化したサービスにも、人は生き続けている。
それが楔なのか、心の支えなのか、日常なのか、私にはわからない。
彼らの過ごした3年間に、その答えがあるのだろう。
結局、久しぶりすぎて彼らと何を話せばいいのか分からず、私はアバターを放置したふりをして、静かにブラウザを閉じた。
気が向いたらまたログインしよう。
私はそう思った。
それが何年後になるのかは、分からない。
私は田舎が嫌いだ。
田舎には人の集まる場所特有のエネルギーが無い。
テレビもある、ラジオもある、車もなかなか走り回っている現在の田舎だが、ゲーセンが無ければ美味いラーメン屋も無い。
正直言って、田舎に都市から移住しようとする人の気が知れない。
田舎にはエネルギーが無いので、人が減り、過疎になり、コミュニティは崩壊していく。
まさか、その過渡期が自分のやり込んでいたサービスで見られるとは思っていなかった。田舎だけに。
これからもアメーバピグは人が減り、さらには運営のサービスも悪化し、やがては終焉を迎えるだろう。
村おこしにアメーバピグはこれから成功することができるのだろうか。
全ては行政、すなわち運営の手にかかっている。
もしくは大物ユーチューバーがネタにするかである。
アメーバピグにはテレビもねぇ、ラジオもねぇ、希望もねぇ。