6/21 雨のち曇り
すっかり平穏な日常。
雨も止んだし、余震も比較的少なくなってきた。
地震のあったここ数日は、なんだかやる気が湧かなかった。
ある程度平和になったことだし、色んなことに本腰を入れていこう。
今年の夏は「認知科学サマースクール」という勉強合宿のようなものにも行くし、どこかの学会を軽く覗いてみようと思っている。
これらで同年代のスキルが高い人たちに出会えば、それは私にとってもメリットになるはずだ。
私はマトモな討論をしたことがないくせに、ディベートが好きだ。
討論まで行かなくても、心理学についての話題を話していて、それが溢れてくる人物に出会えることができれば、それは刺激的なことだろう。
まだ見ぬ誰かとの出会いが、今から楽しみである。
歩いていて楽しい街、というのがある。
自分は海外に行く勇気もないのに、旅行好きを自称している。
旅行の先々で一番好きなのが、街を歩いて、その土地の色を見つけることだ。
比較的身近な場所を例に挙げれば、大阪の天王寺から難波へと歩いて行くのがかなり楽しい。
天王寺は駅周辺はおしゃれな街で、大型のショッピンセンターが立ち並んでいるが、新世界へと向かうと一気に街の色が変わる。
天王寺動物園の横を通り過ぎ、飲屋が連なる商店街へと入って行くと、小汚い中年の男性ばかりが目立つようになる。
18禁グッズが入っているガチャガチャが道脇に置かれているし、1970年代のアーケードゲームの専門店なんかもある。
平成も終わりだというのに、新世界周辺は昭和に取り残されたままである。
「まだ間に合います!」という串カツ屋の謎の宣伝文句を耳に挟みながら、そのまま歩き続けると、日本橋に着く。
東の秋葉原、西の日本橋が日本二大オタクの街だと、個人的に勝手に思っている。
日本橋は電機メーカーの看板をぶら下げた店がどこまでも連なっている街である。
そういう店を覗いてみると、得体の知れない電子部品がカゴに無造作に積まれている。
コンデンサーやHDMIコードや、グラフィックボードのジャンク品なんかもある。
それに、えっちなDVDを販売する店も、ちゃっかり電気屋さんに混じって店を構えている。
そのような中でも、ひときわ大きいのがアニメイトやメロンブックスなどが入っているビルである。
同人誌も持っている人はそれをヒソヒソと隠すのとは対象的に、萌えキャラが描かれた巨大なビルが胸を張るかのように、しゃんとそびえ立っている。
それらに一人で入るにには心の準備が必要なので、スルーして難波へと歩いて行く。
そうすると、大きな銀行の支店だったり、小ぎれいなブティックだったり、はたまたネオンが吊るされた怪しい水商売の店だったり、様々な店が入り混じる難波にたどり着く。
難波はご飯屋が美味しいところが多い。
そのうち開拓しに行きたい。
こういった街の色の移り変わりを全身で体感するのが好きで、私は暇さえあれば街を歩いている。
街歩きは遠くに旅行に行った時にも、もちろん楽しむことができる。
この前東京に行った時は、大阪の街と比較しながら歩くのが興味深かった。
大阪と違い、東京は全体として建物の大きさはあまり変わらないものの、そこを歩いている人の様子が様変わりするというのが印象的だった。
上野を歩けば教養を求めて徘徊する中高年ばかりだし、青山を歩くと紳士淑女が多いし、原宿なんかは若者ばかりだ。
それぞれの街の建物の様子も、そこを歩く人に合わせるように変化する。
上野は博物館や美術館が多いし、青山はブランドものの洋服店が目立つし、原宿はメイク用品を売る店や芸能人の写真屋さんなんかもあった。
人が先か、店が先か。
自分とあまり合わないような街でも、歩くと楽しい。五感で感じる全てが刺激的である。
刺激的すぎて、疲れることもあるが。
今度の夏は中国地方や九州に旅に出てみよう、と考えている。
少し踏み出して台湾や韓国なんかもいいかも知れない。
日本の街と見比べながら、食べ歩きして見るのも良さそうだ。
基本的に街歩きが好きな私だが、そこまで楽しくなかった街が一つだけある。
それは名古屋だ。
あそこは歩いていても何も変わらない。
ビルがあるところから少し抜けると、地平の彼方まで住宅街が続いている。
「なんだか多様性に欠けた街だな」と、当時は思った。
名古屋港水族館や、トヨタ博物館など、オススメの観光スポットは数多くあるが、街歩きにはあそこは向かないと考えている。
三週間後に名古屋に行く予定があるので、もうちょっと目を凝らして名古屋を歩いてみたい。
そうすれば、思わぬ発見があるかも知れない。
疲れない程度に、街を歩こう。