きんこんぶろぐ

大学院生の私が日々思うことを綴っていくブログ

アレをこめて紙束を

11/17 晴れ

 

 とてもゆったりした休日。

 『何もしない』をした。

 

 私は外出をしないと気分が落ち込んでしまう性があるので、喫茶店に来てからこうして日記を書いている。

 

 正面のガラスの向こう側では、制服を着た男女のカップルが互いに身を寄せ合い、指を絡めていた。

 こういった、人生全般において正しい人間を見ていると理不尽に腹が立ってくる。

 

 憤怒の季節が始まろうとしている。

 

 

 最近、半ば強引に本を贈りまくっている。

 希望者に対し、その人を象徴するような本を1500円程度で選んでプレゼントしている。

 

 自分が本を買う場面では、自身がそれを読むことしか今まで想定していなかった。

 なので、人のために本を選ぶというのは意外と新鮮で面白い。

 もちろん、本は偏見でセレクトしている。

 

 これまで、Amazonの欲しいものリストから唐突に人に本を贈ったことはあったが、一から本を選ぶというのは初めてである。

 

 クソのような内容の本を贈っては申し訳ないし、読書家としてのプライドも損なわれてしまうので、本を選ぶのには結構な時間を費やしている。

 

 

 例えば、日頃あまり本を読まず、これから読書を始めようとしている男の子がいたとしよう。

 

 彼には『そして、生活は続く』というエッセイと、『面白い本』という新書をプレゼントした。

 

 『そして、生活は続く』は星野源が『恋』などで大ヒットする前の生活を綴ったエッセイ集である。

 言い回しが親しみやすく、下ネタ満載で面白かった。

 

 正直、星野源はこちらが勝手に嫉妬していてあまり好きではなかったが、この本を読んでから、少し好きになった。ウホッ。

 

 著者の人となりが分かるというのは、エッセイの持つ長所の一つだろう。

 

 『面白い本』は岩波から出版されているブックガイドである。

 

 どこかの編集者をしている著者が、オススメの本を簡潔に紹介している。

 

 流し読みしたが、なかなか本のセレクトが良かった。

 こちらが本をうまく選べているかどうか、不安になる程度には。

 

 

 その他にも、猫を飼っていて、ひたすら「就職したくない」とか何やら呻いている女の子には『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』という小説と『ブラック奨学金』という本を贈った。

 

 『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』は小学生の女の子と、猫が主人公の小説だ。

 著者は万城目学。私が昔から好きな作家だ。

 

 中学生の頃にこの小説を読んで、とても心が浄化された思い出がある。

 この小説がなければ私はとうに闇堕ちして、世界に瘴気をまき散らしていたかもしれない。

 

 『ブラック奨学金』は文春新書から出版された話題作である。

 奨学金の怖さが綿密に記述されている。

 

 奨学金を借りている人は、周囲を見渡してみると結構多い。

 彼女にとって、じわじわ迫りくる就職への発破になっただろうか。

 

 私は大学院に進学を志望しているので、就職など屁の河童である。

 モラトリアムを延長することと、自分の無知を自覚することに、暫くは精進していく予定である。

 

 

 このほかにも、様々な本を様々な人に贈った。

 

 彼らには本を渡す際、「私に合うようなものをプレゼントしてくれ」と押しつけがましく伝えたので、何が届くか今からでも楽しみである。

 

 もし、私に本をセレクトしてほしい人がいるなら、気軽に私に伝えてほしい。

 やる気とお金があれば、あなたにピッタリの本をお届けしよう。

 

 あ、もちろん返品不可でお願いします。

 

 プレゼント後は、私という存在に『高評価』をお願いします。