きんこんぶろぐ

大学生の私が日々思うことを綴っていくブログ

『2025 大阪万博誘致 若者100の提言書』を読んで

11/26 晴れ

 

 

 『2025 大阪万博誘致 若者100の提言書』というものが、巷で話題になっている。

 これは、学生がきたる大阪万博に向けて様々なアイデアを纏めたものである。

 

私たちは、議論を重ね、5つの「問い」を決めました。

そして、そのテーマを問うための「アイデア」を計100個発案し、提言書にまとめました。

コンパクトにまとめながらも、抽象的な理念だけではなく、できるだけ具体的な内容まで書くように努めました。

 

 前文には、このようなことが書かれていた。

 

 これが話題になった理由としては、LGBT関連のアイデアが差別だかどうとかで炎上したことがきっかけらしい。

 詳しいことは各自で調べていただきたい。

 要は、ありふれた悲劇である。

 

 『2025 大阪万博誘致 若者100の提言書』を作った団体は東京大学京都大学など、入試難関校の学生が数多く参加している。

 それでも、こういったアイデアが出てしまうというのは、なかなかに考えさせられる。

 

 当たり前だが、若者も一枚岩ではないということだ。

 それに、善意が元のアイデアでも、それが誰かの逆鱗に触れてしまうのは世の常である。

 

 

 これだけ話題になっているものに目を通さないのも勿体ないので、とりあえず全部読んでみた。

 一通り読んでみると、やはりと言うべきか、お金が死ぬほどかかりそうなものや、発想が傲慢なものなど、いくつかの粗が見られた。

 

 が、面白いアイデアも散見された。

 この提言には批判ばかりが目立つので、個人的に良いと思ったアイデアをここでは紹介していきたい。

 

 

  1. 献セル

献血」ならぬ「献セル(Cell)」。

万博内では来場者から細胞が「献セル」(=細胞の任意提供) され、万能な初期状態に戻す iPS 技術を用いて HLA 型によって分類し、 iPS 細胞をストックする。

創薬再生医療の発展、難病の治療など様々な ポテンシャルを持つ日本発の技術 iPS 細胞を、日本の医療インフラに。

世界中の創薬再生医療が 2025 大阪万博から変わってゆく。

 

 全然言葉回しが上手くないが、良いアイデアだと思った。

 医学方面に私は造詣が深くないので適当な意見になってしまうが、このアイデアは市民と最前線の医学を繋げるものになるだろう。

 

 また、集めた細胞は臓器移植の際の拒絶反応や、遺伝子疾患への有効な情報源になるだろう。

 大阪万博のテーマにも沿っていて良い。

 

 問題点としては、生体情報というデリケートで重要なデータの取り扱い方法だろうか。

 あと、名前の言い回し。

 

 

  1. The Oldest Tastes

農耕の開始は人類にとって非常に大きな転換点だった。

人類は農耕を通して、芳醇な食文化を形成していくのである。

古代エジプト文明では農耕で得られた穀物を原料とするパンとビールが食べ物の象徴的存在であった。

今なお世界の食文化の中心に位置するパンとビールをはじめ、穀物食が最古の姿で復元され、万博内で振舞われる。

幾千年と積み重ねてきた「食べる」という営為の歴史の深みを味わおう。

 

 万博が否が応でも国際色の強いイベントになってしまう以上、こういう軽食をとるための展示は必要だと思う。

 穀物ならば、ムスリムやその他の宗教の教義に触れないような食事を提供することが幾分簡単になるだろう。

 

 個人的体験談としては、『食博』というイベントに訪れた際、口にしたフランスの米が使われたデザートが衝撃的であった。

 これはどろどろになった米と、細切りにされたオレンジが砂糖で和えられたものだった。

 

 意外にも、このデザートは美味しかった。

 食は、最も手軽な異文化理解の方法だと思う。

 

 

  1. 死生観 On Air

この世には生と死に精通している様々な職業が存在している。

医師・看護師・助産師をはじめとした生に携わる人々と、 僧侶・葬儀者のような死に携わる人々が集い、「人はなぜ生きるのか」をテーマに大討論会「死生観会議 On Air」を行う。

その様子は、オンラインで世界中に配信され、世界中からコメントが寄せられる。

生と死の専門家が、21 世紀の 「真に生きる意味」を語り尽くす。

 

 イベントの一つとして行うなら、面白いかもしれない。

 

 ちょうど、七年ごとに行われる世界宗教者平和会議が次に開催されるのは2020年なので、それを万博でやってもらうというのはどうだろうか。

 2025年にもなれば自動翻訳も多少は進歩しているであろうから、面白い試みになるであろう。

 

 問題は、多くの宗教者が2025年までにそれぞれの天国に行ってしまわないかどうかである。

 

 

  1. Steps For Energy

3,000 億歩。

3000万人の来場者が 1 万歩歩いた時の合計歩数である。

2016 年現在ラスベガスで導入計画がなされている 足踏みのエネルギーを電気に変換する「歩行発電」技術によれば、一歩につき 4~8W を生産できる。

理論上1兆2000 億~2 兆4000 億 W の発電可能になった万博の床から、万博内の LED 街灯に電力供給される。

大地を踏みしめる一人一人の力が、万博を照らす光となって降り注ぐ。

 

 シンプルにいいアイデアなのではないだろうか。

 たくさん歩くことは電力になるだけでなく、健康にも繋がる、一石二鳥である。

 

 うまく動線に合わせて設置しないと、馬鹿にならない無駄な経費がかかりそうだが。

 

 今の大阪に、それを考えるほどの知能はあるのだろうか。

 

 

  1. EXPO SeamlessPass System

「人類の辛抱と長蛇」と揶揄された大阪万博ʼ 70。

せっかく万博に来たのに大混雑で、パビリオンに入れないなんて、やってられない。

パビリオン入場の予約はすべてオンラインで行われ、入場時間が近づくと、自動通知が来るので、行列に並ぶ必要はなくなる。

レストラン、グッズショップにレジはなく、買い物かごに入れるだけで自動的に課金される。

人と人とが無秩序に折り重なる混雑から解放された生活は、私たちにかつてない心の豊かさを与えるだろう。

 

 いる(確信) 

 何だかスシローみたいだ。

 

 ただ、クソのようなUIになることだけは避けていただきたい。

 行政主導のシステムは、いつも使い辛い。

 

 

 特に良かったのは、この5つのアイデアだろうか。

 

 他のアイデアはお金が信じられないほどかかりそうなのに、「え、それだけ!?」といったパフォーマンスのものや、現段階での最新技術にこだわり過ぎるあまり、行き詰っているようなものが見受けられた。

 

 個人的には、国立民族学博物館が前回の大阪万博の折に設立された経緯に倣って、世界中の苦難を乗り越えた先に製作されたアート作品を展示してもらいたい。

 

 日本では東日本大震災後のアートを、アフリカからは、実際に民博で展示されていたものを例に出すと、内戦後に残された銃などの兵器をつなぎ合わせて製作したアートなど、こういった多くの作品を集めていただきたい。

 

 それらは現在の世界を知るとともに、昨日までの後悔と明日への希望を私たちに伝えてくれるはずだ。

 

 その他には、終活関連の活動にも焦点をもっと当てても良いかもしれない。

 もしくは終末期医療か。

 

 どちらも、トップクラスに高齢化が進んだ日本が世界より進んだ分野である(と信じたい)。

 今後熾烈に高齢化が進行する予定である中国などの国家や、高齢者自身に、その知見を活かしてもらうことは必要だろう。

 

 

 万博は7年後である。

 

 7年前と言えば、地上デジタル放送が本格的に始まったり、東日本大震災が起きたりと、いろいろと混沌とした年であった。

 その頃の私たちは、AIだのアルトコインだの、最新技術に翻弄される私たち自身を、果たして想像できただろうか。

 

 2025年、今からは想像できなかった技術が世間を席捲していることだろう(激うまギャグ)。

 その頃には社会も変わっていて、LGBTの人たちへの偏見もある程度は解消されているかもしれない。

 

 未来はいつも分からない。

 

 私たちにできることは、現時点で思いつく最良のアイデアを提案し続けることだろう。