きんこんぶろぐ

大学院生の私が日々思うことを綴っていくブログ

ぼっちのグルメ

6/10 晴れのち雨


 梅雨の季節が始まった。雨の日は好きなのだが、あまりにも低気圧が続くと頭痛が酷くなり、なにも進捗が産めなくなる。

 程度を弁えて、梅雨には早々に過ぎ去ってほしいが、そんな人間の都合とは関係なく雨は降り続けるのだろう。『天気の子』でも同じようなことを作中の登場人物が言っていた。自然のそういう理不尽さは嫌いじゃない。マゾヒストなので。

 


 人生の面白さは、卒業した“童貞”の数で決まると私は考えている。要は、どれだけ初めての体験をこなすことができるか、ということだ。

 それに、新しい経験は海馬のニューロン新生や、メンタルヘルスにも効く。確かそういう研究があった気がする。

 小学生の頃から、私は初めての経験をするのが好きだった。学校からの帰りに、いつもと違う道を選んでみたり。スターバックスであらゆるドリンクをコンプリートしてみたり。

 たとえ、一般的な意味での“童貞”を卒業できていないとしても、私は初体験を他の人より沢山こなしてきた自負がある。これはもう、実質的に私はヤリチンである(?)


 つい最近も、私は初めての経験をした。大学の近くのタイ料理屋に訪れたのだ。

 適当にネットで大学周辺のグルメ情報を検索すると、その店が目に入った。このタイ料理屋には、「2016年度社会心理学会」という語がタグ付けされていた。

 私は大学1年生の頃、この学会にお手伝い役として参加したことがある。昔の私はいま以上に情報伝達が下手くそで、無理くりに言葉を口から捻り出したせいで意味が上手く通じず、ある先輩にこの学会で眉を顰められたことがある。本当に苦い思い出だ。


 ともかく、学会のタグに運命じみたものを感じたので、このタイ料理屋に行くことにした。長い坂を下ってしばらく歩くと、エキゾチックな外装の店が見えた。

 入店するといかにも優しそうな、目を細めた高齢の女性が案内してくれた。新型コロナの影響で出費をあまりせずお金が余っていたので、1700円のランチコースを注文した。


 最初に生春巻とサラダが届いた。生春巻を食べるのはこれが初めてだ。

 赤く、いかにも辛そうなソースに生春巻をつけて一口。見た目とは裏腹に、甘酸っぱさが口いっぱいに広がった。もっちりした春巻きの食感に粘土のあるソースが相まって、とても美味しい。まるで生春巻にディープキスをされているようだった。ディープキス、経験したことないけど。


 次にトムヤムクンが机に並べられた。トムヤムクンのクンは“海老”、ヤムは“混ぜる”という意味があるのよ」と、穏やかな声で店主は説明してくれた。「じゃあトムは外国人ですか?」という私の茶々に応じることなく、店主は奥の方へ引っ込んでいった。少し凹んだ。ついでに、トムには“煮る”という意味があることを後で知った。

 トムヤムクンにはパクチーが乗っていた。パクチーが苦手な人は多いと思うが、私は得意だ。

 というのも、東京のホテルニューオータニに一人旅で泊まりに行った際、ビュッフェで腹がはち切れるほどトムヤムクンを飲んだことがあるからだ。最初にパクチーを口に入れたとき、シンプルにカメムシだと思った。トムヤムクン自体は美味しかったので、意固地になって何度もパクチーを食べていると、そのうちに慣れてしまったのだ。今では美味しいカメムシ程度にしか感じなくなった。

 この店のトムヤムクンはホテルで食べたものよりも酸味が強く、いかにもエスニック料理を食べている、という気分にさせられた。こちらの方が、私の好みだ。


 メインにグリーンカレーを食べた後、デザートがやってきた。仙草ゼリーの上にパイナップル・キウイ・ドラゴンフルーツが添えられていた。

 「仙草は、仙人の食べる草と言われているのよ」と、店主は先ほどと変わらない様子でウンチクを説いてくれた。駄々滑りしたから、嫌われたかと思った。よかった、嫌われてなくて。

 仙草とは、シソの仲間の植物である。以前台湾スイーツにハマっていたことがあるので、私は仙草の正体を知っていた。タイの仙人は霞でなくシソの仲間を食べるらしい。仙草ゼリーは、カレーやトムヤムクンといった辛めの料理で火照った身体を心地よく冷やしてくれた。

 


 オチというオチもなく、今日のブログはここまでだ。また機会があればグルメな文章を書いてみたいが、今後2週間はレポートや学会準備等で忙しくなりそうなので、それは叶いそうにない。

 落ち着いたら、またタイ料理屋に行きタイと思う。なんつってぇぇぇぇぇぇええええええええええええええあひゃひゃひゃひゃひゃひゃはyはyははははっっhっyは